システム障害やサービス停止といった「インシデント」は、ビジネスに深刻な影響を及ぼす可能性があります。迅速かつ適切な対応ができなければ、顧客満足度の低下や機会損失は避けられません。本記事では、インシデント管理の目的と重要性から、検知・記録・復旧・報告までの一連のフローを7つのステップで徹底解説します。さらに、効果的な体制を構築するポイントや、業務を効率化するおすすめのツールまで網羅的にご紹介。この記事を読めば、インシデントによるビジネスへの影響を最小限に抑え、安定したサービス提供を実現するための具体的な方法がわかります。成功の鍵は、明確なプロセスを確立し、組織全体で共有することにあります。
インシデント管理とは 目的と重要性を解説
ITシステムがビジネスの根幹をなす現代において、システム障害やサービスの停止は、売上の機会損失や顧客からの信頼失墜に直結します。このような予期せぬ事象(インシデント)に迅速かつ的確に対応し、ビジネスへの影響を最小限に抑えるための活動が「インシデント管理」です。この章では、インシデント管理の基本的な定義から、その重要性、そして混同されがちな「問題管理」や「変更管理」との違いについて詳しく解説します。
インシデント管理の基本的な定義
インシデント管理とは、ITサービスの運用において発生した、サービスの品質低下や中断につながる予期せぬ事象(インシデント)を管理し、可能な限り迅速にサービスを正常な状態へ復旧させるための一連のプロセスのことです。ITサービスマネジメントのベストプラクティスを体系化したITIL(Information Technology Infrastructure Library)においても、中心的なプロセスの一つとして定義されています。
ここでの「インシデント」とは、以下のような事象を指します。
- Webサイトが表示されない
- 社内システムにログインできない
- ネットワークの通信速度が著しく遅い
- プリンターから印刷ができない
- アプリケーションが頻繁にエラーで停止する
インシデント管理の最大の目的は、根本原因の特定や恒久的な対策を講じることよりも、まず「サービスを通常通り利用できる状態にいち早く戻すこと」にあります。これにより、ユーザーや顧客への影響を最小限に食い止め、ビジネスの継続性を確保します。
なぜインシデント管理がビジネスに不可欠なのか
適切なインシデント管理体制を構築することは、単なるIT部門の業務効率化に留まらず、企業経営全体に大きなメリットをもたらします。その重要性は、主に以下の3つの側面に集約されます。
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ビジネス機会の損失防止
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ECサイトが停止すればその間の売上はゼロになり、顧客管理システムが停止すれば営業活動が滞ります。インシデントによるサービス停止時間を短縮することは、直接的な売上損失や生産性の低下を防ぎ、ビジネスへの経済的ダメージを最小限に抑えるために不可欠です。
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顧客満足度と信頼の維持・向上
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サービスに障害が発生した際、迅速な復旧と丁寧な状況報告が行われれば、顧客の不満を和らげ、むしろ「信頼できる企業」という印象を与えることさえ可能です。逆に、対応が遅れたり、情報提供が不十分だったりすると、顧客離れやブランドイメージの低下につながります。インシデント管理は、顧客との良好な関係を維持し、長期的な信頼を築くための重要な活動です。
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SLA(サービスレベル合意)の遵守
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多くのITサービスでは、顧客との間でSLA(Service Level Agreement)を締結し、サービスの可用性や応答時間などを保証しています。インシデント管理は、このSLAで定められた目標値を達成し、契約上の義務を果たすために必須のプロセスです。SLA違反は、ペナルティの支払いや契約解除といった事態を招く可能性があります。
インシデント管理と問題管理・変更管理の違い
インシデント管理を理解する上で、しばしば混同される「問題管理」と「変更管理」との違いを明確に把握しておくことが重要です。これらは互いに連携するプロセスですが、目的と役割が異なります。
以下の表で、それぞれのプロセスの違いを整理しました。
| 管理プロセス | 目的 | 対象 | 主な活動 |
|---|---|---|---|
| インシデント管理 | サービスの迅速な復旧 | サービスを中断させる個々の事象(例:サーバーダウン) | 暫定的な回避策の適用、サービス復旧作業 |
| 問題管理 | インシデントの根本原因の特定と再発防止 | インシデントの背景にある根本的な原因(例:特定条件下でのメモリリーク) | 原因調査、恒久的な解決策の策定、既知のエラーの記録 |
| 変更管理 | ITインフラへの変更に伴うリスクの管理 | システム構成の変更作業(例:サーバーリプレース、パッチ適用) | 変更計画の評価・承認、リリース作業の管理 |
簡単に言えば、インシデント管理が「応急処置」であるのに対し、問題管理は「根本治療と再発防止」を目指します。例えば、「サーバーがダウンした(インシデント)」際に、まずサーバーを再起動してサービスを復旧させるのがインシデント管理です。その後、なぜダウンしたのか根本原因(例:特定のソフトウェアのバグ)を調査し、恒久的な対策を立てるのが問題管理の役割です。
そして、問題管理で特定されたバグを修正するパッチを適用する際には、その変更が他のシステムへ悪影響を及ぼさないよう、計画的に作業を管理する「変更管理」のプロセスが必要になります。これら3つのプロセスは独立しているのではなく、相互に連携することでITサービス全体の安定性と品質を向上させる、という関係性を理解することが極めて重要です。
インシデント管理の基本的なフロー7ステップ
インシデント管理は、場当たり的に対応するものではなく、体系化されたプロセスに沿って進めることが不可欠です。ここでは、国際的なITサービスマネジメントのベストプラクティスであるITIL(Information Technology Infrastructure Library)をベースとした、標準的な7つのステップから成るインシデント管理のフローを解説します。この一連の流れを理解し、組織内に定着させることが、迅速かつ効果的な対応の第一歩となります。
ステップ1 インシデントの検知と記録
インシデント管理の最初のステップは、インシデントの発生を「検知」し、その内容を正確に「記録」することです。すべてのインシデントは、例外なく記録されなければなりません。
インシデントの検知は、主に次のような経路で行われます。
- ユーザーからの報告(電話、メール、チャットボット、社内SNSなど)
- システム監視ツールによる自動アラート
- サービスデスクや開発担当者による発見
検知されたインシデントは、管理ツール上で「チケット」や「ケース」として起票し、一元管理します。この記録が、後の対応状況の追跡、情報共有、そして将来のナレッジとして活用するための基礎となります。記録漏れは、対応の遅延や混乱を招くだけでなく、貴重な改善の機会を失うことにも繋がります。
記録すべき主な情報には、以下のような項目が含まれます。
- インシデントの一意な識別番号(ID)
- 報告者の氏名・連絡先
- 発生日時
- インシデントの内容(どのような問題が起きているか)
- 発生しているシステムやサービスの名称
- エラーメッセージやスクリーンショットなどの詳細情報
ステップ2 インシデントの分類と優先順位付け
記録されたインシデントは、次に「分類」と「優先順位付け」を行います。このステップは、限られたリソースを最も重要な問題に集中させ、効率的に対応するために極めて重要です。
まず、インシデントを事前に定義されたカテゴリに分類します。例えば、「ハードウェア障害」「ソフトウェアのバグ」「ネットワーク接続の問題」「アカウント関連」のように分類することで、適切な担当チームへ迅速に割り当てることができます。
次に、優先順位を決定します。優先順位は、一般的に「影響度」と「緊急度」の2つの軸を組み合わせて判断されます。
- 影響度:インシデントがビジネスに与える損害の大きさ。影響を受けるユーザー数、業務の停止範囲、金銭的損失などを基準に判断します。
- 緊急度:インシデントを解決するためにどれだけの時間的猶予があるか。業務への影響が時間経過とともに拡大するかどうかなどを基準に判断します。
この「影響度」と「緊急度」を組み合わせたマトリクスを用いて、客観的な基準で優先度を決定することが、対応の標準化に繋がります。
| 緊急度:高 | 緊急度:中 | 緊急度:低 | |
|---|---|---|---|
| 影響度:高 | 優先度:最高 | 優先度:高 | 優先度:中 |
| 影響度:中 | 優先度:高 | 優先度:中 | 優先度:低 |
| 影響度:低 | 優先度:中 | 優先度:低 | 優先度:低 |
この優先度に基づき、SLA(サービスレベル合意)で定められた目標解決時間内に対応を進めることになります。
ステップ3 初期対応と診断
優先順位付けが完了すると、サービスデスク(ヘルプデスク)などの一次対応チームによる初期対応と診断が開始されます。このステップの目的は、インシデントの一次切り分けを行い、可能であれば迅速に解決することです。
担当者は、まずユーザーに連絡を取り、状況のヒアリングや詳細な情報収集を行います。その後、過去のインシデント履歴やFAQ、マニュアルなどが蓄積された「ナレッジベース」を検索し、同様の事象に対する解決策がないかを確認します。
既知の問題であれば、ナレッジベースに記載された手順に従ってユーザーをガイドし、解決を図ります。 このように、一次対応で解決することを「ファーストコールレゾリューション(FCR)」と呼び、FCR率の向上は、顧客満足度の向上とサポートコストの削減に直結する重要な指標です。
この段階で解決に至らない場合でも、問題の切り分け(例:ユーザー個別の問題か、広範囲の問題か)を行い、次のステップに必要な情報を収集します。
ステップ4 エスカレーション
初期対応で解決できないインシデントは、より専門的な知識や権限を持つ担当者やチームに引き継がれます。このプロセスを「エスカレーション」と呼びます。
エスカレーションには、主に2つの種類があります。
- 機能的エスカレーション:より高度な技術スキルを持つ専門チーム(二次担当、三次担当、開発チームなど)に技術的な調査や対応を依頼すること。
- 階層的エスカレーション:インシデントの影響が広範囲に及ぶ場合や、重要な経営判断が必要な場合に、マネージャーや役員などの上位職位者へ報告し、指示を仰ぐこと。
スムーズなエスカレーションを実現するためには、インシデントのカテゴリや優先度に応じて「誰に」「どのような場合に」引き継ぐかというルールを事前に明確に定義しておくことが不可欠です。エスカレーションの遅れは、そのまま解決までの時間の遅延に繋がるため、迅速な判断と情報伝達が求められます。
ステップ5 調査と解決策の特定
エスカレーションを受けた専門チームは、インシデントの本格的な調査を開始します。このステップの目的は、インシデントの根本原因を究明し、恒久的な解決策、または暫定的な回避策(ワークアラウンド)を特定することです。
調査には、ログファイルの分析、システムの再現テスト、関連部署へのヒアリングなど、多角的なアプローチが用いられます。原因の特定と同時に、ビジネスへの影響を最小限に抑えるための対応も進めます。
恒久的な解決策(例:プログラムの修正)に時間がかかる場合、サービスを一時的にでも利用可能な状態に戻すための「回避策(ワークアラウンド)」を検討し、ユーザーに提供することが極めて重要です。例えば、「特定の機能の使用を避ける」「代替手段を利用する」といった暫定的な対応により、ユーザーの業務停止時間を短縮できます。
ステップ6 解決と復旧
特定された解決策、または回避策を実行し、システムやサービスを正常な状態に戻すステップです。具体的には、次のような作業が行われます。
- ソフトウェアのパッチ適用やアップデート
- サーバーやネットワーク機器の設定変更
- 故障したハードウェアの交換
- データのリストア
解決策を適用した後は、必ず動作確認を行い、インシデントが完全に解消されたことを検証します。この検証作業は、システム面での確認だけでなく、実際に問題を報告したユーザーに協力を依頼し、業務が正常に行えることを確認してもらうのが最も確実です。ユーザーの確認をもって、システムは「復旧」したと判断されます。
復旧が確認できたら、影響を受けたすべてのユーザーに対して、サービスが正常化したことを速やかに通知します。
ステップ7 インシデントのクローズと報告
インシデント管理プロセスの最終ステップです。ユーザーが解決を確認し、サービスが完全に復旧したことを合意した上で、インシデントのチケットを「クローズ(完了)」します。
クローズする際には、対応の全履歴がチケットに正確かつ詳細に記録されていることを確認します。記録には、以下の情報を含めるべきです。
- 最終的な原因
- 実施した解決策
- 対応にかかった総時間
- 各担当者の作業内容
この詳細な記録は、将来同様のインシデントが発生した際に参照できる貴重なナレッジベースとなり、組織全体の対応能力を向上させます。
また、特に影響の大きかったインシデントについては、インシデント報告書を作成し、関係者や経営層と共有します。この報告を通じて、インシデントの再発防止策や、サービス品質の改善、インシデント管理プロセス自体の見直しなどに繋げていくことが重要です。根本的な原因が特定できていない場合は、このインシデントを「問題管理」のプロセスに引き継ぎ、さらなる深掘り調査を行うこともあります。
効果的なインシデント管理体制を構築する3つのポイント
インシデント管理のフローを確立するだけでは、有事の際に円滑な対応ができるとは限りません。フローを確実に実行するためには、それを支える「体制」の構築が不可欠です。ここでは、インシデント対応の質とスピードを格段に向上させる、効果的な管理体制を構築するための3つの重要なポイントを解説します。
明確な役割分担と責任の所在
インシデント発生時、最も避けなければならないのが「誰が何をすべきか分からない」という混乱状態です。対応が遅れる最大の原因は、役割と責任が曖昧であることに起因します。そこで重要になるのが、インシデント対応チーム内での役割分担と責任の所在を事前に明確に定義しておくことです。
具体的には、インシデント全体の指揮を執る「インシデントマネージャー」、技術的な調査と復旧作業を行う「技術担当者」、社内外への情報伝達を担う「コミュニケーション担当」など、それぞれの役割を定めます。これにより、各担当者は自身のやるべきことに集中でき、迅速かつ的確な意思決定と行動が可能になります。
役割定義のフレームワークとして、「RACIチャート」を活用するのも有効です。RACIは、以下の4つの役割の頭文字を取ったもので、タスクごとに誰がどの責任を負うのかを可視化できます。
| 役割 | 名称 | 内容 |
|---|---|---|
| R | Responsible | 実行責任者(実際に作業を行う担当者) |
| A | Accountable | 説明責任者(最終的な意思決定と責任を負う管理者) |
| C | Consulted | 協業先・相談先(専門的な意見を求められる関係者) |
| I | Informed | 報告先(進捗や結果の報告を受ける関係者) |
例えば、インシデント対応におけるタスクと役割をRACIチャートで整理すると、以下のようになります。これにより、誰が主体的に動き、誰に報告・相談すべきかが一目瞭然となります。
| タスク | インシデントマネージャー | 技術担当 | サポートデスク | 広報担当 |
|---|---|---|---|---|
| インシデントの初期診断 | A | R | C | I |
| エスカレーションの判断 | A | C | R | I |
| 復旧作業の実施 | A | R | I | I |
| 顧客への状況報告 | A | I | C | R |
ナレッジベースの構築と活用
インシデント対応の効率と品質は、担当者の知識や経験に大きく依存しがちです。このような「属人化」は、担当者の不在時に対応が滞ったり、対応品質にばらつきが生じたりするリスクを孕んでいます。この問題を解決するのが、ナレッジベースの構築と活用です。
ナレッジベースとは、インシデント対応に関する情報や知識を集約したデータベースのことです。具体的には、以下のような情報を蓄積・共有します。
- 過去に発生したインシデントの記録(発生日時、原因、影響範囲、対応手順、解決策)
- システム構成図やネットワーク構成図
- 緊急連絡先リスト
- 対応マニュアルや手順書
- よくある質問とその回答(FAQ)
これらの情報を一元管理し、チーム全員がいつでも参照できる状態にしておくことで、多くのメリットが生まれます。例えば、新しいインシデントが発生した際に、過去の類似事例を検索することで、原因究明や解決策の特定にかかる時間を大幅に短縮できます。また、標準的な対応手順が明文化されることで、担当者による対応品質のばらつきを防ぎます。
ナレッジベースは、インシデント対応の属人化を防ぎ、組織全体の対応能力を底上げするための重要な資産です。ただし、情報が古くなるとかえって混乱を招くため、インシデントがクローズするたびに情報を更新し、定期的に内容をメンテナンスする運用ルールを設けることが重要です。
適切なインシデント管理ツールの導入
インシデントの件数が増え、組織が大きくなるにつれて、メールやExcel、チャットツールだけでの管理には限界が訪れます。情報が分散し、対応状況の把握が困難になったり、報告漏れや対応遅延が発生したりするリスクが高まります。そこで、インシデント管理プロセス全体を効率化するために、専用のツールの導入が極めて有効です。
インシデント管理ツールを導入することで、主に以下のようなメリットが得られます。
- 情報の一元管理:発生したインシデントに関するすべてのやり取りや対応履歴を一つのチケットに集約し、関係者全員がリアルタイムで同じ情報を共有できます。
- プロセスの自動化:インシデントの受付、担当者の割り当て、優先度に応じた通知、エスカレーションなどを自動化し、手作業によるミスや遅延を削減します。
- 対応状況の可視化:ダッシュボード機能により、未対応、対応中、解決済みといったインシデントのステータスを一覧で可視化でき、管理者は全体の進捗を容易に把握できます。
- データ分析とレポーティング:インシデントの発生傾向、解決までにかかった時間(MTTR)、担当者ごとの対応件数などを自動で集計・分析し、サービス品質の改善や体制強化のための客観的なデータとして活用できます。
自社の事業規模や業務プロセス、予算に合ったツールを選定することが、投資対効果を最大化する鍵となります。無料のツールから、ITサービスマネジメント全般をカバーする高機能な製品まで様々ですが、まずは情報の一元管理とプロセスの可視化を実現できるツールから検討を始めると良いでしょう。
インシデント管理を効率化するおすすめツール
インシデント管理のフローを確立しても、Excelやスプレッドシート、メールといった手動での管理には限界があります。対応の属人化、情報共有の遅れ、対応漏れの発生、ナレッジの非蓄積など、多くの課題が潜んでいます。これらの課題を解決し、インシデント対応を迅速かつ正確に進めるためには、インシデント管理ツールの導入が極めて効果的です。
インシデント管理ツールは、インシデントの受付からクローズまでを一元管理し、対応プロセスを自動化・可視化します。これにより、対応品質の標準化と業務効率の大幅な向上を実現し、サービスデスクや情報システム部門の負担を軽減します。
インシデント管理ツールの選び方
市場には多種多様なインシデント管理ツールが存在し、自社に最適なツールを選ぶことが成功の鍵となります。ここでは、ツール選定で失敗しないための5つの重要なポイントを解説します。
| 選定ポイント | 確認すべき内容 |
|---|---|
| 1. 自社の規模と目的 | 企業の規模(従業員数、IT部門の人数)や、ITIL準拠の厳格なプロセスが必要か、あるいはシンプルなインシデント追跡で十分かなど、導入目的に合致しているかを確認します。 |
| 2. 操作性とUI | IT担当者だけでなく、インシデントを報告する一般の従業員も利用する可能性があります。誰にとっても直感的で分かりやすいインターフェース(UI)であるかは、社内浸透と継続利用において非常に重要です。 |
| 3. 機能の網羅性 | インシデントの記録、分類、優先順位付け、担当者割り当て、エスカレーション、ナレッジベース連携、レポート・ダッシュボード機能など、自社が必要とする機能が過不足なく搭載されているかを確認します。 |
| 4. 外部システムとの連携 | ビジネスチャットツール(Microsoft Teams, Slack)、監視ツール、プロジェクト管理ツール(Jira, Backlog)など、既に利用している外部システムとスムーズに連携できるかを確認します。API連携の可否も重要な判断材料です。 |
| 5. サポート体制とコスト | 導入時の設定支援や運用開始後のサポート体制が充実しているか、特に国産ツールか海外製ツールかで日本語サポートの質が変わるため注意が必要です。初期費用、月額料金、ユーザー数に応じた料金体系を比較し、コストパフォーマンスを総合的に判断します。 |
国産ITサービスマネジメントツール「SHERPA SUITE」
インシデント管理ツールの選び方を踏まえ、具体的な選択肢の一つとして、国産のITサービスマネジメント(ITSM)ツール「SHERPA SUITE(シェルパスイート)」をご紹介します。
SHERPA SUITEは、ITILに準拠した本格的なITサービスマネジメントを実現するために開発された純国産のツールです。インシデント管理だけでなく、問題管理、変更管理、構成管理といったITSM全体のプロセスを統合的に管理できるのが大きな特徴です。日本のビジネス環境や商習慣を深く理解した設計と、手厚い日本語サポートが魅力で、多くの国内企業で導入されています。
インシデント管理においては、以下のような機能を提供し、対応プロセスの標準化と効率化を強力に支援します。
| 機能カテゴリ | 具体的な機能内容 |
|---|---|
| 受付と起票 | 電話、メール、Webフォームなど多様なチャネルからの問い合わせを一元的に受付。テンプレート機能により、迅速かつ正確なインシデント記録(起票)が可能です。 |
| 分類と割り当て | カテゴリや優先度(SLAと連動可能)を自動または手動で設定し、あらかじめ定義したルールに基づいて担当チームや担当者へ自動で割り当てます。 |
| 対応と情報共有 | 対応履歴や進捗状況が時系列で可視化され、関係者間でのスムーズな情報共有を実現します。対応が滞留した際には、アラートによる通知も可能です。 |
| ナレッジ連携 | 過去のインシデント対応履歴をナレッジとして蓄積・検索できます。類似インシデント発生時に過去の解決策を参照することで、迅速な解決に繋がります。 |
| レポートと分析 | 対応件数、解決時間、SLA遵守率など、様々な指標をダッシュボードで可視化。レポート機能により、サービス品質の評価や改善点の特定に役立ちます。 |
このように、SHERPA SUITEはITILに準拠した本格的なインシデント管理体制を構築したい企業や、複数のITSMプロセスを一つのツールで統合管理したい企業、そして何よりも手厚い日本語サポートを重視する企業にとって、非常に有力な選択肢となるでしょう。
まとめ
本記事では、インシデント管理の目的と重要性、具体的な7つのステップからなるフロー、そして効果的な体制を構築するためのポイントについて網羅的に解説しました。インシデント管理は、システム障害など予期せぬ事態が発生した際に、ビジネスへの影響を最小限に抑え、サービスを迅速に復旧させるために不可欠なプロセスです。これにより、顧客満足度と企業への信頼を維持することができます。
効果的な運用のためには、インシデントの検知からクローズまでの一連の流れを標準化し、関係者の役割と責任を明確にすることが重要です。さらに、対応履歴をナレッジとして蓄積し、「SHERPA SUITE」のようなインシデント管理ツールを導入することで、対応の属人化を防ぎ、組織全体の対応力を向上させることが可能です。この記事を参考に、自社の管理体制を見直し、より安定したサービス提供を目指しましょう。
